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第2話『ランタ ダラワディー リゾート』 all around the world

ランタ島のビーチ 未分類
テキスト本文朗読 by Amazon Polly

クラビバスターミナルからのワゴン車は、ランタ島に上陸後、島の西海岸に沿って走る国道4245号線を南下している。方角的には進行方向の右側には海があるはずなんだけど、道路からは海も砂浜も見えない。舗装されているものの埃っぽい道路の脇には、ホテルの看板が連なっている。また、道を歩く人々に占める西洋人の割合が高く、この辺りが観光客の集まるエリアであることが分かる。ヘルメットを被らずに二人乗りをする西洋人の若者カップルのバイクを追い抜いて、ワゴン車はさらに走り続ける。

埠頭から10分ほど経った頃から、道路の脇に車を停車させた運転手が後部座席の扉を開け、乗客のなかのグループを指さしながらホテル名を伝えるという流れが何度か繰り返された。その度にワゴン車の中から数名ずつが減っていく。残りが私たちを含めて残り2組となったところで、やっと運転手の指が私たちを指し「タラワディー」と告げられた。ワゴン車を降りると、運転手は車両の後ろ側にいて、今度は道路の反対側にある小路を指さしている。

ホテルの前まで送り届けてくれれば良いのにと思いつつ、道路を渡る。タイの道路は日本と同じく左側通行なので、右を注意しながら道の真ん中まで進み、左を見ながら向こう側まで渡る。ちなみに、世界的に見ると左側通行は少数派だ。タイと国境を接している国を見ても、マレーシアは左側通行だけど、ミャンマーもラオスもカンボジアも右側通行である。一般的にはイギリスの植民地だった国は左側通行で、フランスなどのその他の国の植民地だった場合には右側通行だと言われているのだけど、マレーシアはイギリスの植民地だったし、タイは植民地になったことがない国だし、いまいちスマートな説明ではない。

こんなことを考えながら、運転手に教えられた小路を歩いているんだけど、なかなかホテルらしいものが出てこない。正面から乗用車が1台ゆっくりと近づいてきて私たちとすれ違った。道幅には余裕がないので、ブロック塀に張り付くようにして車が通りすぎるのを待った。道路から100メートルほど入ったところで小路は右へと折れているが、私たちの宿泊するホテルへは、どうやら直進のようである。扉の開け放たれた門から、おそらくホテルなのだろうと思われる敷地へと入る。

結局、門からさらに100メートルほど歩いてきた。草も木も生えていない広大な土地の周囲には、平屋建てのコテージがいくつも建っていた。もしかしたら、このうちのどれかが今日から宿泊する部屋なのかとも思ったが、どうやらそうではないらしく、そのまま真っすぐに進んでいった。門のところからも視界には入っていたヤシの木が近づいてくると、幹の下の方にはハンモックが吊るされている。南国リゾートっぽい雰囲気がでてきたなと思ってハンモックを眺めていたら、その先が海であることに気が付いた。

あの動く駐車場を降りて以来、およそ45分ぶりの海である。そして、さきほどは船着き場の岸壁だったけど、今は砂浜もセットで見える。ヤシの木を超えて海の方へと近づいてみると、左右両方に向かってずっと遠くまで砂浜が続いてる。バンコクの南バスターミナルを出発してから15時間ほどが経っただろうか。ついに南国リゾートであるランタ島に到着した。いや正確には、南国リゾートであるランタ島に到着したことを実感できた。

さて、もう正面は海だから直進は出来ないので、そろそろチェックインかと思ったら、そこはレストランだった。4人掛けのテーブルが10セットほど並び、砂浜の側には座布団の敷かれた座敷が5つほどある。既に前日から宿泊していたのであろう西洋人のファミリーが1組、座敷で食事をしている。テーブルのひとつには、おそらく店のスタッフであろう女性2人が大声で楽しそうに談笑している。どちらの組も、私たちの到着には関心がないようだ。そんなレストランを通り抜けた先に、ホテルのチェックインカウンターがあった。チェックインカウンターと呼ぶ以外には適切な言葉が見つからないんだけど、実際に目の前にあるのは事務用のデスクが1つだけである。

もちろん、コンシェルジュのような人は見つからない。デスクに座っていたオッサンがチェックインのための作業を進めている間、ラックに無造作に差し込まれている観光客向けの小冊子のいくつかに目を通してみる。どうやらランタ島のオプショナルツアーとしては、周辺にある無人島の島巡りのようなものがあるらしい。また、レンタルバイクがあるようだ。それから、南国のビーチリゾートらしくシーフード料理が豊富だということも分かった。手に取った小冊子の数よりも得られた情報の数が少ないけど、おそらくランタ島というのは、こういう島なのだろう。

さきほどチェックイン業務をしてくれたオッサンが、部屋の鍵を持って手招きをする。部屋への案内係も、このオッサンなのだ。全面が芝生のバスケットコート2面分くらいの空き地のスペースの脇を抜け、バスケットボールコート1面分くらいのプールの脇を抜け、2階建ての建物の2階に上がって一番奥が、私の部屋だった。クイーンサイズのベッドが中央にあり、鏡台のようなデスクと、たたみ一畳分くらいの奥行きのあるソファがあり、トイレは様式で、バスタブは無くてシャワーのみ、ハンガーには水色のバスローブが吊るされている。シンプルだけど使いやすそうな部屋だ。

窓は海側を向いていて、広いバルコニーがある。きっとバルコニーからも海が見えるオーシャンビューなのだろうと外へ出てみると、すぐ目の前にヤシの木が視界を遮っており、その隙間からはバスケットボールコート1面分くらいのプールが見え、その先にはバスケットボールコート2面分くらいの芝生が何とか見えるのだが、どう頑張ってみても砂浜や海面を覗き見ることはできなかった。明日が大晦日で、さらに年明け2日まで、こんな部屋でお世話になる。

 

第3話『ランタ シュア レストラン』へ続く。

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