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上海総会(クラブ)とは、世界中から集まった商人たちの中でも上流階級のみが紹介制により入会を許された会員制クラブまたは社交場のことです。
この建物は現在、ヒルトングループの最上級ホテル『ウォルドルフ アストリア』のひとつとして使用されています。
上海外灘建築群『上海総会大楼』
外灘は当時、大きく分けて共同租界とフランス租界があり、上海クラブビルは共同租界の南端(正確には南端から2番目)に位置していました。
共同租界というのは、イギリスとアメリカの各国租界が合併したために「共同」となってますが、実際のところはイギリス租界です。
道路前の車両(バスやタクシーなど)が、南側を向いている感じです。
外観は、ほぼ当時のまま
中公新書『上海』には、上海クラブの当時の写真が掲載されていますが、現在の外観と比べても、ほとんど全く完全に限りなく同じです。
唯一の違いというのが、上の写真の日差しのみです。
そして、もちろん入り口に敷かれているマットも、『上海クラブ』ではなく、現在のオーナーであり運営者であるウォルドルフ アストリアのものになっています。
扉を開けると階段がある
ホテルとして使用されているため、基本的には観光客であっても館内に入っていくことが出来ます。建物の威圧感でビビりますけど。
で、思いきって扉を開けると目の前には階段があり、さらに階段の上に扉があります。
吹き抜けのあるエントランスホール
当時の上海クラブでは、租界の有力者と近づくための方法として、このエントランスホールでの「出待ち」が行われていたそうです。
上海クラブに出入りできているだけでも十分にハイソサエティですが、さらに上の地位を目指す人たちにとってはコネクションが重要だったのでしょうね。
エントランスの先には小ホール
ここがどのように利用されていたのかは、現地にも特に看板などがありませんでしたし、文献でも見つかりませんでした。
現在では、この小ホールは特に何にも使われておらず、ホテルの新館タワーへの通り道になっています。
ウォルドルフ アストリア上海
上海クラブの歴史的な建築を抜けた先には、近代的なホテルの大きなホールに出ます。
当時の様子を描いた記述によると、上海クラブには長い長いバーカウンターがあり、肩がぶつかるくらいの短い間隔でバーテンダーたちが並び、目の前の客に対してカクテルを提供していたと言います。
このホールが当時の場所なのかどうかは分かりませんが、このホールの大きさも圧巻でした。そのうち、ウォルドルフ アストリア上海の旧館(歴史的建造物の側)に宿泊してレポートしたいと思います。