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ジョージア(旧グルジア)の人口はどうして減少し続けているのか?

ジョージアの首都トビリシ ジョージア
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IMFによる2018年統計によると、ジョージアの人口は371万人です。

実は同じ統計の1994年の数字を見てみると、ジョージアの人口は493万人でした。20年ほどの期間に122万人、減少率は25%ですから、誰がどう見ても奇妙です。2008年にロシアと交戦していますので、その際に大量の死者が出たのかと思いましたが、グラフを見てみると緩やかに人口が減少しており、一時的に急激な減少があったわけでもありません。

どうしてジョージアの人口が減少しているのかについて調べてみました。

ジョージアの人口統計グラフ(1994年~2018年)

ジョージアの人口は1990年代に大きく減少しています。2001年以降は減少の程度が緩やかになり、2013年以降は横ばいに近い状態になっていますが、全体的には増加よりも減少の方が明らかに多い状態です。

このグラフだけ見ると、ジョージアという国の先行きが不安になりますね。

ジョージアの普通出生率について

では、国の人口の増減に関わる数字をひとつずつ見ていくことにします。

まず、普通出生率という人口1000人あたりの生まれた人数のデータです。極端な話として普通出生率が0であれば、高齢者を中心に死亡していくので人口は減ることになります。

90年代には下がる一方であるジョージアの普通出生率は、2001年から回復に転じたものの、2011年頃を頂点として再び減少傾向にあります。

最新データである2016年の数字が13.5人なのですが、これは世界平均の18.89人を大きく下回っていますが、少子高齢化問題を抱えている日本の7.8人と比べれば随分と多いです。

普通出生率の低下も人口減少のひとつの要因になっていることは確かなようですが、2001年以降は人口グラフと異なる動きをしていますので、生まれてくる数が少ないから人口が減少しているとは結論付けられないようです。

男子選好による女児中絶の傾向

一部の英語サイトでは、ジョージアの普通出生率が低下している要因として、男の子が生れることが期待されており女児であった場合に中絶手術を行う傾向があるとの指摘があります。この傾向が事実であるかどうか、また人口への影響があるのかどうかについては未検証ですが、こうした指摘があることだけは記述しておきます。

女児を中絶する傾向が長期間に渡って続いた場合には、母親になる女性の数が減り、普通出生率を加速度的に低下させる可能性はあります。

ジョージアの平均寿命について

生まれる数を確認した後は、死んでしまった数を見ます。

死亡に関して扱いやすいデータとして、平均寿命のグラフを確認してみます。少子高齢化であるにも関わらず日本の人口が急激に下がらない理由は、平均寿命が延びているからです。

これは意外なグラフですが、ジョージア国民の平均寿命は延び続けています。人口が急激に減少した90年代でも、平均寿命はグングンと上昇しています。

普通出世率のグラフと比べると、明らかに逆の傾向を示しています。生まれる数は減っている一方で、平均寿命は延び続けており、この傾向が加速すれば少子高齢化へと向かうことになります。

ただ、そんなことよりも、これらのグラフを見ていると共通点があることが分かります。90年代と、2000年あたり、そして2012年あたりで、それぞれのグラフに変化が生じています。

ということで、それぞれの時代ごとにジョージア国内で何か歴史的なイベントがあったのではないかと推測し、ジョージアの歴史について確認してみることにします。

ジョージアの建国から現在までの現代史

ジョージアの歴史の詳細は改めて別の記事で書きたいと思いますが、ごく簡単に現代ジョージアの流れについてまとめます。

独立宣言と内戦(90年代) 旧ソ連に属していたジョージアが独立を果たしたのは1991年4月9日のことです。そして90年代にはジョージア国内は内戦状態となっていました。

バラ革命(2003年) ジョージアは2003年、世界の注目を集めました。独立後の92年からの長期政権で汚職が蔓延していたシェワルナゼ政権が、議会選挙で不正を行ったと野党や市民からの猛反発に遭い、バラを手にした野党議員たちによる国会ビル占拠によって退陣しました。

ロシア・グルジア戦争(2008年) バラ革命によって政権を獲得したサアカシュヴィリ大統領ですが、国内の情勢を落ち着かせることが出来ず、2008年に勃発したロシアとの戦争で多数の戦死者が出たことによって求心力を失いました。

ロシアとの関係改善(2012年) 戦争するまでに強硬な反ロシア政策を進めていたサアカシュヴィリ政権が否定されたことから、2012年の議会選挙、2013年の大統領選挙のどちらでも、ロシアとの関係改善を訴える政党や候補者が勝利しました。

ジョージアは現在、EU加盟を国策としていますので親ロシアを掲げているわけではありませんが、周辺各国との関係を良好な状態に保とうという姿勢になっています。

これらのジョージアの国内情勢が、人口の増減に大きく関わっていることは間違いなさそうです。内戦状態の90年代には人口が急激に減少し、政権が改善されて民主化が進むにつれて減少の割合が少なくなっています。

ただ、このような国内情勢が人口の増減に直接的に影響を与える要因が、もうひとつあります。

ジョージアの人口減少の理由は「移民」

出生については人口減少、死亡については人口増加を示すデータが出てきましたが、やはり20年ちょっとの期間で25%もの人口が減少した理由としては弱いです。

そこで、出生と死亡以外で人口の増減に関わるデータとして「移民」について確認してみました。移民というのは、ジョージア国民が海外に出れば人口減少、外国人がジョージアに住み始めれば人口増加になります。

手元で確認できるデータとして、ジョージア国内における移民の人口比率があります。

ジョージアの人口が急激に減少した90年代、移民の割合も同じように減少していることが分かります。90年には5.63%だった移民が、2000年には1.61%まで低下しています。具体的な数字も出ていて、90年が約30万人で、2000年が約7万6000人です。

ということで、122万人の人口減少のうちの約22万人に関しては、ジョージア国内に住んでいた移民が本国に帰ったり、別の国へと移り住んだものです。

そして、ジョージア国民が出稼ぎなどの理由で国外に移り住むことも「移民」のひとつです。ここまでの数字を見る限り、少なくとも50万人以上のジョージア国民が国外に出稼ぎに出ているようです。

ジョージアの人口減少に関する考察まとめ

ジョージアの人口は20年ほどで25%も減少しています。

減少の理由としては、

  • 普通出生率が低下している
  • ジョージア国内に住んでいた外国人が出て行った
  • ジョージア国民が国外へと出稼ぎに出ている

などの要因があるものと考えられます。

このため、今後、ジョージア経済が良くなることによって、出稼ぎに出ているジョージア国民が戻ってきたり、外国人がジョージアに移住することが増えて、ジョージアの人口が増える可能性は高いものと思われます。

ただし、普通出生率が急激に上昇することは考えにくいので、ジョージア国内においてジョージア国民を雇用することは年を追うごとい困難になっていく可能性が高いです。